2007.1.13
24週1日
無脳症

9月に初めて産婦人科に行き妊娠していることがわかり家族みんなで喜びました。
10月、11月の妊婦健診では「異常なし・順調です。」と言われお腹が大きくなってきて胎動も感じることができて毎日がそれだけで楽しかった。
12月の健診で「頭が下の方にあるみたいで頭の大きさ測れないなぁ。女の子ですねぇ」私は女の子が欲しかったから本当に嬉しかった。でも先生の様子がいつもと違っているような感じがした。普通なら「次は4週間後に来て」と言うのにその時は「2週間後に来て欲しいけど年末年始休みだから3週間ごに来て下さい。」と言われた。私はなんかあるのかな?くらいにしか思っていなかった。
クリスマス、年末年始とお腹の赤ちゃんと家族と楽しく過ごした。
3週間後に病院に行くと先生がエコーを見て「前回も思ったんですけど赤ちゃんの頭が小さいんです。無脳児といって体は本当に普通なんだけど頭蓋骨が欠けてしまっていて脳がないんです。」とエコーを見ながら言われた。私は何を言われているのか全くわからず「このままお腹に入れておいても産まれてもすぐに死んでしまうんです。」と言われこの子は普通には産んであげられないんだと思った途端涙があふれ出し止まらなくなった。
先生は一緒にいた旦那にも説明した。セカンドオピニオンとか言ってもう一人の先生にも見てもらったが結果は変らなかった。家に帰り家族に説明し4日後入院することになった。
入院までの間、何をしていても涙が止まらなかった。お風呂に入って大きくなったお腹を見る時が1番つらかった。夜も涙が止まらなかった。
入院した日の夜、子宮口を広げる処置がされた。それは今までに経験したことのない痛みだった。病院は個室で部屋にはお腹の中の赤ちゃんと二人。最後の夜だった。お腹の中で赤ちゃんがもの凄く動くのがわかった。きっとこの子もつらい、嫌がってるんだと思ってずっとお腹に手をあてていた。ずっと起きていたかったけど薬のせいで朝まで眠ってしまった。
朝ごはんの後、陣痛促進剤を使い陣痛が来た。ものすごい痛みがしきりなしに襲ってくる。ナースコールを押し「お腹がもの凄い痛い」と言うと「痛くなるものなの」と言われその後30分くらい耐えた。自分の携帯で旦那に電話することもできなかった。2回目のナースコールでやっと看護婦さんが来てくれた。処置室に連れて行かれベットに横になった。我慢できずにいきんでみると風船がはぜたように破水した。お腹の痛みがなくなったのでお腹に触るとお腹はもうさっきまでのお腹ではなかった。でもまだお腹の中には赤ちゃんがいる。二回目の促進剤が効くまでの間、眠くなってきてこのまま眠ったら夢になるんじゃないかって思ってしまった。
15分後また陣痛が来た。数回いきんだら赤ちゃんが産まれた。泣かなかった。すぐにナースコールを押し処置をしてもらい先生が来て「間違いなく無脳児でした。旦那さんに確認してもらうから赤ちゃんは見ない方がいいよ。」と言われた。その時はこわくて「はい」と返事してしまった。車椅子で部屋に連れて行ってもらった。旦那にも来てもらった。旦那が来て旦那に「赤ちゃんみた?」と聞くと「まだ見てないよ」と。つらいのか私の顔は見ずに婦長さんから言われたことを私に伝えた。旦那が帰るときに一緒に赤ちゃん見ようと思ったけれど言い出す勇気が出なかった。家に帰った旦那に「赤ちゃん可愛かった?」と聞くと「可愛かったよ」って言ってくれた。やっぱりこの目で自分が産んだ子を見ておけば良かったと後悔した。でも旦那は写真を撮ってくれていた。
15日に火葬が決まり私は15日に退院だったけど婦長さんが「行かない方がいい」と言っていたので旦那に行ってもらった。迎えに来た旦那からはお線香のにおいがした。
家に帰り旦那に「小さい赤ちゃんは骨が残らない方が多いんだって。でもちゃんと残ったよ。これが足でこれが骨盤なんだって。」と説明してくれた。小さい小さい骨だった。
私はその赤ちゃんを抱きしめてどのくらいかわからないけど泣いていた。誰にも会いたくない、家から出たくない、つらくて涙が出る。そんな毎日だった。数日後泣いてばかりいたら赤ちゃんがママが楽しそうにしていないとママのことが心配で成仏できなくなるとどこかのサイトに書いてあった。その日以来か我慢しているわけではないけど泣かなくなった。
まだ四十九日は過ぎていないから赤ちゃんは一緒にいる。毎日朝起きたら抱きしめておはようと、寝るときも抱きしめておやすみと言ってから寝ています。
この子は私たちのことを選んで来てくれたんだ。自分がママとパパに抱かれる前に空に帰ってしまうこともわかっているのに私のお腹に来てくれた。そんなこの子が私は可愛くて仕方がない。
この子の分まで一生懸命生きていこうと思います。
パパが撮ってくれた可愛い赤ちゃんの写真は私の宝物です。
24週と1日間、ママに幸せな日を過ごさせてくれてありがとう。