2005年6月22日午前10時15分
 15週2日  頭蓋骨不形成 
4月11日
初めての妊娠検査薬で陽性が出て、夫に秘密で一人ワクワクして産婦人科で小さなまめを発見、 「おめでとうございます」と言われ涙が出ました。夫に電話で報告して喜び合いました!
4月25日
超音波で黒い袋に成長していました。それからはつわりとの闘いで心身共に衰弱して、こんなにきついものとは知らなくて早く楽になりたいとばかり思いました。
5月16日
先生に 「頭が確認しにくい 」と言われ様子をみることになりました。不安になった私は友達に聞き、まだ週数が短いからかもと少しホッとしました。
5月30日
もう成長してるから楽しみやな〜と産院に行くと、また先生の 「うん? 」という声で一気に不安になりました。やっぱり頭蓋骨が確認しにくいとのことで、大きな病院を紹介してもらいました。涙が止まらなくて話をまともに聞けませんでした。帰り道夫への報告の電話で泣きじゃくりました。
翌日総合病院でも同じ結果でした。もうお腹の中でもたとえ出産しても生きれない事を知り愕然としました。つわりで気分がよけい悪くなり先生の話を聞くのがやっとでした。前日二人で覚悟を決めてたのですが、12週なので麻酔をかけて処置出来なく、胎盤が完成するまで待たなければなりませんでした。私は自分を責め続けました。つわりでいらいらして赤ちゃんや夫にあたったりしたから罰があたったのかと。
原因が不明だけど、染色体異常と聞きました。毎週通院する度成長している我が子。心臓が動くのが見え、骨が出来、手足が出来、バタバタ動いています。でもやっぱり頭蓋骨が無い。毎回もしかして奇跡が起こるんじゃないかという希望は打ち砕かれました。
6月14日
胎盤が完成したので翌週入院が決まりました。入院の前日までまだ現実逃避していました。
日に日に大きくなるお腹と乳房。つわりが治まって何でも食べれるのに虚しい。いなくなるのが信じられないよ。
6月20日
入院。夕方初めての処置。ラミナリアという海草で出来た棒を4本入れ子宮口を広げました。かなりの激痛で飛び上がりそうでした。超音波で元気に動く我が子を見た最後の日。動いてるのに命を奪ってしまうの?辛かった。先生がよく動くのは、頭にクッションが無いから衝撃をもろに受けて動きが激しんだと教えてくれました。今まで元気だと思ってたけどずっと痛かったんやと初めて知りました。
6月21日
ラミナリアを16本挿入しました。体の中で広がってるのがわかりました。毎日早く仕事を切り上げて面会に来て励ましてくれる夫を見送るたび、このままこの子と逃げたいと思いました。
6月22日
運命の日。もう逃げられない。3回に分けて陣痛促進剤を投与して分娩の説明を受け9時過ぎに1回目の投与です。「今日が一番痛いけど頑張って!」と言われどんなに痛いのか恐ろしくなりました。
すぐに激痛がして破水してしまい、慌しく分娩台に運ばれると痛みが鎮まりました。 「次は12時の投与まで痛みは無いかな 」との矢先、激痛でそのまま出産しました。訳のわからぬまま痛みと闘った時間でした。もう自分の事ばかり考えてて早く終わって欲しいの気持ちでした。配慮して下さって臨時で個室に移して頂き、夫と私達の母3人が来てくれて、ベビーと対面しました。小さな箱を開ける前から涙が止まりませんでした。
10時15分14cm54gの男の子でした。脳がむき出してる以外はしっかり体は出来ていて、安らかに眠っていました。あんなに痛くて苦しかったのに、呼吸を止めてしまったのに夫と同じ寝顔をして冷たくなったベビーを触れると可哀想で申し訳なくておかしくなりそうでした。でも二人に似たベビーを見ていると愛おしいという気持ちにもなりました。みんなで親ばかになってました。その夜から涙が止まらなく薬が無いと眠れません。看護師さんに支えられた毎日でした。
6月24日
ベビーと名付けた息子をお空に見送る日です。お願いして大きな箱にベビーを寝かせて最初で最後の三人で外出です。夢だったベビー服と靴、おもちゃを買い自宅へ帰りました。
片手サイズのベビーと話しお乳もあげました。手紙・写真・ミルク・お菓子・大事な物・お花でいっぱいの棺。できることをいっぱいしてあげたかった。少しでも三人で過ごせて嬉しかった。斎場に預けるまででお別れでした。骨が残らない程小さいんやね。一人にするのが心配でたまらなかった。それが気になって眠れませんでした。退院して日常が戻っても私の心は止まったままでした。励ましの言葉が逆に胸に刺さり、うつ状態でした。気持ちに波があって、思い出しては泣いています。でも天使になったベビーに母は頑張ると約束したから、ゆっくり自分なりに歩いていきます。ベビーが残してくれたもの、作ってくれたものを大切に。いつかまた逢える日を夢見て。今は悲しいけど幸せです。ありがとうの気持ちでいっぱいです。
夫と二人で三人分生きていきます。