2009.5.23 生後35日

新生児ヘルペス感染症



妊娠中は何の問題もなく順調に育ち、2009.4.18ちょうど予定日通りに生まれてきてくれたおりこうさんの颯ちゃん。体も大きくて健康そのものだった。
ところが生後三日目、38℃の発熱と陥没呼吸が見られたためNICUのある
病院へ移動。
私は入院中で動けなくて・・・もどかしかった。「きっと風邪よ
ね。」自分に言い聞かせて過ごした。
検査結果、命に関わる病気ではないと言
われてほっと肩をなでおろした。
私は退院し、真っ先に颯ちゃんの所に会いに
行った。熱も下がり、搾乳した母乳もたくさん飲んだ。「もう大丈夫かも」って思った。
ところが搬送されて1週間後、白い便と嘔吐があり急遽大きな病院へ
転院となった。
「1時間後には検査結果が出るから、お母さんその頃に来てく
ださい。」と言われたが待つなんてとても無理だった。。
私も追いかけるよう
に大きな病院へ行ったが、何となくただならぬ雰囲気。お医者さんが走ってきて「もう輸血しないと危ない!!」という。わけがわからなかった。お願いしてNICUに入れてもらうと保育器に入りたくさんの点滴につながれた颯ちゃんがいた。体を突っ張り必死に私のほうを見てた。「ママ、僕生きたいいんだ。僕がんばってるよ。」って言ってるようだった。私は小さな手を握りただただ無事を祈るばかり・・・検査結果、原因はわからないけど肝臓がひどい炎症を起こしていることがわかった。腎不全も起こし、肺炎も起こし、脳内出血も起こし、消化管出血も起こしていた。
颯ちゃんきつかったよね。懸命な治療のおかげ
で、颯ちゃんは少しずつ良くなっていった。心臓も自分で動かせる。おしっこも出るようになった。「颯ちゃんすごいね!」ってみんながほめてくれたよね。このままよくなってくれるとみんなが信じていた。
5月20日。お医者さん
に呼ばれて面談室へ。颯ちゃんの病気の原因がやっとわかった。
「新生児ヘル
ペス感染症」新生児が罹ると、極めて予後の悪い病気だった。ヘルペスが再発し、再び颯ちゃんの体を蝕んでいった。助けるには肝臓移植しかなかったが90%失敗すると言われた。
私は1%でも可能性があるならお願いします。と頼
んだがお医者さんは「自分が颯ちゃんの立場だったら本当にそれが幸せでしょうか?天国に行くときに手術台の上ってとても淋しくないですか?もっとお母さんに抱っこしてほしかった。って思うんじゃないかな。」と言われて思いとどまった。
確かに生まれて1か月間、まともに抱っこしたこともなかった。会
ったこともない家族もたくさんいたね。話したいこともたくさんあった。颯ちゃんのために縫ったオムツや洋服もまだ着てなかったもんね。生まれてきて、赤がちゃんにとっての幸せを全部我慢して、辛い治療も頑張ってきたんだもん。もう甘えていいんだよ・・・。私たちは治療をやめて三日間病室を借り、家族水入らずで過ごした。たくさん抱っこしてチューして、たくさんの家族が颯ちゃんに会いにきてくれた。来る人みんなが颯ちゃんの頑張りを褒めてくれたよね。よかったね。
最期の日、颯ちゃんは小さな手をばたばた動かし、静かに
涙を流した。そして颯ちゃんは私とパパの腕の中で天使になった。
お医者さん
は「残念でした」って言わず「颯ちゃんよく頑張りました。」って言ってくれた。
本当に頑張って生きたね。ママは颯ちゃんに恥じない生き方をしていきた
い。見守っていてね。そして、ママがもっと強く優しくなったらまたママを選んでほしいな。